2009年12月17日木曜日

中国訪問記

「日中長城計画」-------- 初めて聞いた時はその内容が想像できなかったので、いったい何なのだろうと思ったら、1972年から16回も継続している民間交流とのことでした。そんなに続いているものなら一度は行く必要があるかな、と思ってはみたものの参加費198,000円! 格安旅行しかしたことのない私は一瞬躊躇してしまいました。でもいろいろ聞いてみると、パック旅行では絶対行けない政府機関なども視察できるので、参加者の評判がすこぶる良いのだとか。そういうことなら私も見てみたいし、日本の国会議員たちがこういう民間外交にどのように関わるのかも知りたいと思い、参加を決めました。

そして蓋を開けてみると、なんと国会議員143名を含めた総勢635名もの参加者。これには驚きました。その500人近い民間の方々の多くは、中国にビジネスチャンスを求めているというではありませんか。既に中国で工場などを持ちビジネス展開中の人も多いとのこと。私は中国人民大学で客員教授をしていたこともありますので、観光スポットには興味はありませんが、参加をすれば、日中交流の現場を体験できるのではないか、また長年アメリカ合衆国議会で働き日米関係の強化に微力ながら尽くしてきた私にとっては、残念ながら強固とはいいがたい日中関係の実態を知るいい機会になるのではないか、とも思いました。

夕食会や新農場の見学などでの参加者の方々のご様子は、私にとって本当に新鮮でした。日本経済の分析も、皆さん本当に的確。やはり現場で仕事をされているからこそ感じる危機感もあるのでしょう。中国政府の要人たちに名刺を配る方々も多く、やはり民間は強い! と感嘆。「こうした機会を持てるのだから198,000円なんて安いものです」と明快におっしゃっていました。

報道では日本の政治家の参加ばかりクローズアップされましたが、実は中国というビジネス相手を共通項にして、日本人同士が知恵を絞るための旅だったというのが、私の印象です。今もバスで一緒だった皆さんの顔が浮かんできます。500人近い一般参加者の皆さん全員とお話しはできなかったけれど、少なくとも私がお話しできた方々は、日本の先を見据えた方々ばかりでした。中国に対する見方も現実的でクールでした。やっぱり日本人って素晴らしい。

私は、観光のための団体行動にはまったく参加せず、もっぱら北京で大学の教授や学者の皆さんとの意見交換会や交流に時間を費やしました。中国分析の本音を聞いたり、日本語の流暢な日本専門家達の忌憚のないプライベートな話は、とても勉強になりました。価格破壊の発信源である中国においてさえ、経済学者たちはその底なし沼のような危機に気付いています。食費が安すぎるのは、農家への搾取だとも言っていました。また、日本のシンクタンクで働いていた時からの知り合いだった某教授は、中国の文化が失われてしまい拝金主義がはびこることを嘆いており、私の心に残りました。

「マテオ・リッチとフランシスコ・ザビエル由来の古い教会があります。行かれますか?」と案内された場所は、まるで中世のヨーロッパにタイムスリップしたかのようでした。「いま中国では、キリスト教を信仰する人が増えているのです」荘厳な雰囲気に包まれた薄暗い教会の片隅に腰掛けながら、教会に集まる人々の静かな祈りの姿を、私は時間を忘れていつまでも眺めていました。